ファイアーエムブレム(FE)の最新作「ファイアーエムブレムif」が6月25日に発売された際、同作では主人公が特定のユニットと同性婚ができるとの発表があり、話題を呼びました。
それに対する反応の中で、
という主張がいくつか目につき、気になりました。
というのも、私は結婚システムを採用した最初のファイアーエムブレムである「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」をプレイした経験があり、同性婚は同作のシステムとさして矛盾することなく実装できそうに思えたからです*2。
聖戦の系譜型のシステムとして、同性婚を実装することに特に無理はありません。同性カップル*3が養子をとり、養子ユニットにスキルなどを引き継がせた、ということにすればいいだけの話です。養子が甥や姪であると設定すれば伝説の武器の引き継ぎも無理なくできます。例えば、下記表の「同性婚システム案その1」のようなシステムです。
もっとも、異性婚のみを想定している聖戦の系譜では、子ユニットの数は「結婚した女性ユニットの数」によって決まることになっています。男性の同性婚で必ず養子ユニットが出現することにすると、子世代のユニットが増えてしまい、ゲームバランスやシナリオに影響が大きいのは否めません。
ゲームバランスやシナリオへの影響を抑えたシステムも考えられます。代替ユニット(通称:平民ユニット)が出現し、かつ同性婚が成立している場合には、同性婚カップルが代替ユニットの養親となり、武器やスキルの引き継ぎが行われる、という下記表の「同性婚システム案その2」のようなシステムです。
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FE聖戦異性婚 |
同性婚システムその1 |
同性婚システムその2 |
恋愛対象 |
固定カップル以外の男女間だけ |
固定カップル以外は同性間もあり*4 |
固定カップル以外は同性間もあり |
カップル間の子ども |
実子ふたり |
養子二人 |
代替ユニットが養子になることがある*5 |
子ユニットの名前と兵種 |
母親に応じて定まる |
養親一人ごとに固定の養子ユニットがいる |
代替ユニットと同じ*6 |
武器と杖 |
武器、杖レベルが合う限り*7、母から娘、父から息子に引き継ぐ*8 |
武器、杖レベルが合う限り*9、養親の一方から固定の養子ユニットに引き継ぐ |
武器、杖レベルが合う限り*10、養親の一方から代替ユニットの一方に引き継ぐ |
リング |
同上。必ず引き継げる |
同上。必ず引き継げる |
同上。必ず引き継げる。 |
お金 |
両親の金を10分の1づつ引き継ぐ |
両養親の金を10分の1づつ引き継ぐ |
両養親の金を10分の1づつ引き継ぐ |
スキル |
両親の個人スキルを引き継ぐ |
両養親の個人スキルを引き継ぐ |
両養親の個人スキルを引き継ぐ*11 |
血統 |
母から娘、父から息子に引き継ぐ*12 |
養子ユニットごとに固定*13 |
代替ユニットにより固定 |
パラメータ成長率 |
両親の成長率の平均 |
養子ユニットにより固定だが、固定養親と傾向が似ている*14 |
代替ユニットにより固定*15 |
能力値 |
同性親の初期パラメータ、両親の前半終了時のパラメータによって変動。同性親の影響が大きい |
養子ユニット固定の初期パラメータ*16、両養親の前半終了時のパラメータによって変動。固定養親の影響が大きい |
代替ユニットにより固定*17 |
聖戦の系譜の恋愛・子作りシステムを知っている人なら、こういった実装はさほど無理なくできそうなことは分かるでしょう。
少なくとも聖戦の系譜のシステムについていえば、同性婚と矛盾するというのは誤解なのです。
そもそも、聖戦の系譜において子作りは必須ではない
シグルド軍の女性ユニットが独身のまま前半を終えた場合には、子どもはできないものの、後半では代替ユニットが出現します。代替ユニットは子ユニットより弱めなので、普通は出現させたくないのですが、中にはやりこみ要素を求めたり、キャラ愛からあえて代替ユニットを出現させるプレイヤーもいます。
つまり、聖戦の系譜においては子作りは必須では無いのです。
また、結婚すると隣接した時に支援効果が発生したり、お金の受け渡しができるようになったりといった、子どもユニットとは関係ない効果が発生しますので、子ユニットの育成以外にも、恋愛システムの意味はあります。
このため、聖戦の系譜には孫世代は登場しないにもかかわらず、子世代でも恋愛ができるようになっています*18。
ゲームシステムとしては、「同性婚はできるが、子どもはできず、女性が同性婚をした場合は代替ユニットが出現する」という処理でも、聖戦の系譜に無理なく同性婚を導入することができます。
しかし、聖戦の系譜の恋愛システムの最大の魅力が子作りを見据えた親世代のカップリングにあるのは間違いありません。できれば、同性婚でも子ユニットが登場したほうが、同性婚システムは盛り上がるでしょう。このため、上記表では、同性婚とともに養子への引き継ぎができるシステムを2つ考えてみたわけです。