ましゅーましまし

LARPとフォントとTRPGと日本語配列とマダミスとキーボードと(電子ペーパー)ディスプレイと自由の話

タッチタイプが覚えやすいかな配列「かわせみ配列」を他の配列と数値的に比較する

はじめに

かな配列の中では一番タッチタイプが覚えやすい、かわせみ配列という配列を作りました。

そこで、以前比較した、ローマ字配列、AZIKこまどり配列、JISかな配列、Nicola(親指シフト)配列新下駄配列よだか配列の比較にかわせみ配列を加えてみます。

比較するのは、動作数、打鍵数、指の移動量です。それぞれの意味については、前回の記事で説明したとおりです。使用している例文も同様です。

動作数と打鍵数の例文での比較

例文:「さっぽろでちーむにごうりゅうした。」(札幌でチームに合流した。*1 17文字)

動作数 総打数
ローマ字入力 28 28
AZIK 23 23
こまどり 24 24
JISかな 20 23
Nicola 17 27
新下駄 16 22
よだか 16 24
かわせみ 16 24

かわせみ配列の数字はよだか配列と全く同じになりました。動作数でいうと、

ローマ字入力>こまどり,AZIK>JISかな>Nicola,新下駄,よだか=かわせみ

の傾向が見て取れます。

総打数でみると

ローマ字入力Nicola>こまどり,よだか=かわせみ,AZIK,JISカナ,新下駄

という関係が読み取れ、この例文ではNicolaが意外に総打数が多くなっていることがわかります。これはこの例文ではNicolaでは単打にならないカナが多く使用されているからです。

他の例文でも見てみましょう。

例文:なんでもかんでもみんなおどりをおどっているよ。(23文字)

動作数 総打数
ローマ字入力 38 38
AZIK 35 35
こまどり 35 35
JISかな 30 30
Nicola 23 39
新下駄 23 33
よだか 20 28
かわせみ 20 28

この例文でも、かわせみ配列はよだか配列と同じ数字になりました。

動作数では、

ローマ字>AZIK,こまどり>JISカナ>Nicola,新下駄>よだか=かわせみ

総打数は、

Nicolaローマ字入力>こまどり,AZIK>新下駄>JISかな>よだか=かわせみ

の関係が読み取れます。

よだか配列の場合と同じく、かわせみ配列も撥音拡張が使えるときは、動作数、総打数のどちらも減らす効果が高いことが分かります。

指の移動量の比較

次は、動作数、総打数に加えて、キーボードによる文章入力の容易さ比較のための方法論試案で使用された計算方法および218文字の例文*2での指の移動量も比較してみましょう。

動作数 総打数 移動量(mm)
ローマ字(Qwerty 370 370 10566
ローマ字(Dvorak 370 370 6072
AZIK 340 340 9074
こまどり 357 357 3482
JISカナ 245 264 10508
Nicola 218 312 5004
新下駄 215 274 5136
よだか 204 276 5178
かわせみ 204 274 5080

移動量については、

ローマ字(Qwerty)>JISカナ>AZIK>ローマ字(Dvorak)>よだか>新下駄>かわせみ>Nicola>こまどり

の順番となっており、かわせみ配列がよだか配列や新下駄配列よりほんの少しだけ移動量が減ってます。これは、よだか配列と比べて「く」や「す」が単打で打てなくなったこととのトレードオフなので、これが良い変化なのかは、総打数の変化も見る必要があります。

総打数については、

ローマ字>こまどり>AZIKNicola>よだか,新下駄=かわせみ>JISかな

という関係が見てとれ、かわせみ配列はよだか配列と新下駄配列と同じく総打数ではNicolaに勝っていて、JISかなに迫っていることが分かります。

また、動作数では

ローマ字>こまどり>AZIK>JISかな>Nicola,新下駄>よだか=かわせみ

という関係がみてとれます。

ほかの例文の結果の場合と合わせて見ると、かな配列4種については総打鍵が「Nicola>よだか>かわせみ>新下駄>JISかな」となり、動作数については「JISかな>Nicola>新下駄>よだか=かわせみ」となるようです。

かわせみ配列の単打率はおよそ64%で、よだか配列や新下駄配列のおよそ68%に比べると低いので(なお、Nicolaの単打率はおよそ54%)、総打数がもっと多くなるのではないかと考えていました。しかし、かわせみ配列はよだか配列と違って拗音拡張が3キー同時打鍵ではなく2キー同時打鍵なのが意外と総打数の削減に効いているようで、ほとんど差がないか、かわせみ配列の方が微妙に小さくなっています。かわせみ配列はよだか配列よりずっと覚えやすいように作っていますし、総打数や動作数に差がなくキーボードも選ばないという利点もあるので、全体的には「かわせみ配列」の方がよだか配列より優れた配列ということになるでしょう。

*1:Weblog 61℃: 同時打鍵は魔法の呪文ではない。より。他配列の動作数(リンク先では「名目打鍵数」)、総打数(リンク先では「実質打鍵数」)も書かれています。

*2:せっかくうったぶんしょうがいっしゅんできえてしまうのは、わたしもなんかいかけいけんがあります。しかし、こうしたいんたーふぇーすのけっかんがどこにせきにんがあるのかはいちがいにはいえません。このばあいでも、おやゆびしふとにせめをおわせることはできません。まず、とりけしきーのいちは、たしかにわーぷろせんようきのじだいのおやゆびしふとではえんたーきーのひだりでしたが、げんざいぱそこんでつかうばあいには、かならずしもそのいちにはありません。