ごく一部で大注目を集めている中国Dasung社製の電子ペーパーディスプレイ「Paperlike」を同社から購入した*1のでレビューします。
概要
Paperlikeは13.3型のEink社製電子ペーパーを採用したコンピューター用ディスプレイで、Micro USB接続で動作します。
電子ペーパーはそれ自身では一切光らず、見た感じも紙に似ており目が疲れないのが最大の特徴です。
Amazon Kindleや楽天Koboといった電子書籍端末に採用されており、液晶ディスプレイを利用しているスマートフォンやタブレットよりも圧倒的に読みやすいです。
電子ペーパーの読みやすさをパソコンに持ってきた時点で画期的で、これまではソニーのDPT-S1という専用用途の端末くらいにしか採用されていなかった13.3型の大型電子ペーパーに、WindowsやMacで表示できるものは何でも映せるようになります。
Paperlikeはまだベータ版であり、ドライバのインストールや操作方法にかなり癖があるうえ、まだ動作が不安定です。しかし、それらの点のレビューは後回しにして、誰もが気になる表示品質について、電子書籍サービスKobo*2のデスクトップアプリでの表示を例に示したいと思います。
小説の表示
泰平ヨンの未来学会議
スタニスワフ レム著、深見 弾・大野 典宏訳の泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕を1600x1200の解像度、16階調グレースケールで表示した例です。
16階調150dpiの威力で、綺麗に表示されます。画面の明るさにムラがあるのは、照明のムラです。ディスプレイ自体は全く光っていません。
同じ部分を1600x1200の解像度、2階調グレースケール(A2モード) でも表示してみました。
文字の輪郭がガタガタしていますが、一応読めますし、内容の確認やUIの操作には問題ありません。16階調モードではページめくりやマウス起動の速度がとても遅いため、Paperlikeの画面のA2ボタンを押して臨機応変に2階調に切り替えるのがお勧めです。
漫画の表示
あれよ星屑
まずは、山田 参助のあれよ星屑 1巻から解像度1600x1200、16階調で表示した例です。
見開きの大ゴマは、A4サイズだとかなり迫力があります。
小さなコマでは字が小さくなってきて、ややボケます。
16階調ではページめくりの遅さとマウスの描画の遅さがつらいので、1ページづつめくる以外の操作をするときは2階調に切り替えたほうがいいでしょう。
解像度1600x1200、2階調 大ゴマならそれなりに読めます。
小さめのコマは2階調では壊滅的な表示ですが、目当てのページを探すことくらいはできます。
解像度を800x600に設定した場合も見ていきましょう。
800x600、16階調 字がボケ気味な以外は結構いけますが、画面の動作はまだ遅いです。
800x600、擬似5階調(A5モード*3) それなりの表示もできて、動作も結構早いモードでなかなかいいです。ただし、他のモードより残像が残りやすい気がします。
800x600、2階調
めしばな刑事タチバナ
次は、坂戸佐兵衛のめしばな刑事タチバナ 4巻から、インドカリースパイシーチキンのシーン。
解像度1600x1200、16階調 普通に綺麗ですね。
解像度1600x1200、2階調 「パ」の半濁点がほとんど消えてしまっています。操作時用ですね。
解像度800x600、16階調 ボケボケです。
解像度800x600、擬似5階調(A5モード) この設定がDasung Techのお勧めのようですが、同解像度の16階調よりも字が読みやすく、動作も早いので、場面によってはありです。
解像度800x600、2階調 A5モードよりあまり早くもないので、2階調にするくらいならA5モードの方がいいでしょう。
*1:先行品です。日本には他にも数台入ってきているようで、ネットには他にはtommmmy1798さんのまとめが上がっています。
*2:私は、①日本でのサービス開始が早かったこと、②当初から日本語組版のクオリティが十分高かったこと、③Kindleは漫画を多く持ち運ぶには容量が足りないのに対しKoboではmicro SDが使えることから、日本の書籍についてはAmazon Kindleではなく、楽天Koboを使用しています。
*3:4ピクセルで5階調を表現することで、速度と画質の両立を狙うモードです。その仕組み上、解像度1600x1200では使えません。