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文字は読むため、文は伝えるため。

コンピュータには、もっと楽に入力できるはず。コンピュータからの出力は、もっと快適に受けとれるはず。

ローマ字入力、AZIKや行段系配列に少しだけ漢直を足す実例

(この記事は 漢直 Advent Calendar 2015の13日目の記事です。)

シフトを使わない例

日本語入力ソフトによっては、ローマ字テーブルを変更することで、ローマ字の組み合わせに任意の漢字や文字列を登録することができます*1

つまり、ローマ字入力では使わないローマ字の組み合わせに漢字を割り当てることで、ローマ字入力に無理なく漢字直接入力を混ぜることができるのです*2。この際、ローマ字変換テーブルに漢直用の定義を追加すれば足り*3、配列変更ソフトの利用は不要です。

しかし、

  • 登録できる漢字の数が限られる
  • 単語の一部だけを漢直入力すると単語の漢字変換がスムーズにできなくなる

などの制限があるため、漢直が便利に使える場面を見極めることが重要です。

まず私がおすすめするのは、日付の入力に使う漢字を登録することです。例えば、次のような定義です。

ローマ字 漢字
nx
gt
nt

こうすると、「2015nx12gt13nt」とタイプすることで、変換動作なしで「2015年12月11日」という文字列を入力することができます。「2015nen12gatu13niti」とタイプするのと比べて打鍵数も5打減りますし、使う場面が明確で、頻繁に使うので、すぐ覚えられます*4

なお、短文や漢字の組み合わせを登録することもできますので、年号も登録してしまいましょう。

ローマ字 単語
hs 平成
sw 昭和

これで、「hs27nx12gt13nt」と入力すると、「平成27年12月13日」と変換動作なしで入力できるようになりました。

また、接尾辞のように他の読みと混ぜて変換する必要の低い漢字の登録や、単位として使う漢字の登録もおすすめです。たとえば、「様」という敬称はよく使いますので、「千」「万」と合わせて漢直登録していまいましょう。

ローマ字 漢字
sm
sn
mn

自分の名前を登録してしまうのもおすすめです。例えば、「山田静香」という名前なら以下の様な定義をすることで、変換作業なく4打鍵で入力することができます。

ローマ字 単語
yd 山田
sz 静香

また、私の経験では「会社」及び「株式会社」という単語を入力する機会はかなり多いので、これも登録しておくのがおすすめです。

ローマ字 単語
kb 株式
ks 会社

また、二文字目以降であれば数字キーを定義に使うこともできるので、文字キーと数字キーとの組み合わせで漢数字を登録するのもおすすめです*5

入力 漢数字
k1
k2
k3
k4
k5
k6
k7
k8
k9
k0

記号を登録するのもありです。例えば、「〒」は郵便番号を入力するときに多用するので、変換せずに入力できるとスムーズです。

ローマ字 出力
yb

シフトを使う例

Google日本語入力では、ローマ字テーブルの定義に大文字を使うことができます*6。つまり、シフトを使ったときに漢字を入力することをすることもできます。この際、「一文字目だけシフト」「一文字目と二文字目を両方シフト」「二文字目だけシフト」にそれぞれ漢字や単語を定義することができますので、定義ができるスペースがぐっと広がります*7

おすすめは、「一文字目だけシフト」に漢字を登録し、「一文字目と二文字目を両方シフト」に単語などを登録することです。この際、キー配列割当ソフトの使用は必須ではありませんが、シフト動作を多用することになるので、キー配列割当ソフトをつかってスペースバーをシフトキーと共用するSandSの設定も行うとなおいいでしょう。

漢字や記号の登録

たとえば、「一文字目だけシフト」には以下の様な漢字を定義することが考えられます。

ローマ字 漢字 使用場面例
At 「~様宛」など
Dn 殿 「(人名)殿」など
Do
Du 「~月~日付」など
Go
Mn
Mt 「~月末」など
Ws
Zu

私が拡張ローマ字入力AZIKGoogle日本語入力で使用していた頃は、シフトしない定義や「二文字だけシフト」と合わせて下記のような漢字や記号を登録していました。便利かもと思ったものは積極的に登録し、使用頻度が少なくても削除しなかったので、実際はほとんど使用せず、打ち方も覚えなかった漢字も多く含まれています。

ローマ字 漢字 ローマ字 漢字 ローマ字 漢字
Aq At Bj
Bq bt Bt ×
Bu Bw Bz
Ch Dn 殿 Do
Dp Dq Du
Ei Eq Go
Gp gt Gy
Hd Hl Hp
Ht Hz Ji
Jp kD Kd
Ki KI Kk
kP Kp kQ
Kq Kr Kt
Ku Kw Kyp
Kz Md Me
Mg Mk mm
Mn Mq Mt
Mw nn Nq
nt Ok Pj
Rn Ryp Rz
Sd Sh Si
sm St Sw
Td Th Tp
Ue Um Ws
Xa Xh Xo
Xp yb Yp
Zd Zu

単語の登録

「一文字目と二文字目をシフト」には、(例えば勤め人であれば)職場の同じチームや直属の上司など、苗字を頻繁に打つ人や役職名を登録するのがおすすめです。例えば、職場で鈴木さんや佐藤部長にメールを打つことが多いなら、以下のような定義が便利です。所属する会社や団体の名前を定義しておくのもいいでしょう。

ローマ字 単語
SZ 鈴木
ST 佐藤
BC 部長

その他にどのような単語を定義するのが便利かは、普段どのような単語をよく使うのかによって大きく異なります。下記は、私が使っていた定義の中から、比較的汎用性があると思われるものを抜き出してみたものです。自分にとって便利な定義をどんどんローマ字テーブルに加えてみましょう。

ローマ字 漢字 ローマ字 漢字 ローマ字 漢字
AT 相手 BB 売買 BD 米ドル
BG 番号 BQ 場合 BS 別紙
BX 文書 CM 丁目 CS 調査
DH 代表 DI 同意 EG 英語
GB 原文 GG 午後 GI 合意
GS 原則 GT 該当 GY 概要
GZ 午前 HB 販売 HD 本件
HG 表現 HT 否定 HY 必要
IJ 以上 IK 以下 IZ 以前
JB 準備 JR 受領 JX 住所
JZ 事前 KG 競合 KK 期間
KN 確認 KT 決定 KY 契約
MK 無効 MR 目録 ND 年度
NK 認識 OG 覚書 RG 例外
RK 了解 SH 製品 SJ 削除
SK 請求 SN 責任 ST 指定
SZ 製造 TG 定義 TK 締結
TT 通知 TX 提出 XH 商品
XM 書面 XW 修正

(この記事は、漢直もちょっと打てる、こまどり配列(semialt/komadori · GitHub)で書きました。)

*1:Google日本語入力、Aqua SKK, CorvusSKKで可能なことを確認していますが、他のソフトでもできるかもしれません。

*2:AZIKのような拡張ローマ字入力や、未定義のキーの組み合わせがある多くある行段系配列の場合も同様です。つばめ配列のように、未定義のキーの組み合わせが少ない行段系配列では、定義が困難です。つばめ配列を参考にして作ったこまどり配列も未定義のローマ字の組み合わせが少ないため、シフトを使った漢字や単語の定義だけを行っています。

*3:Google日本語入力とCorvusSKKの場合は環境設定から、定義を追加できます。AquaSKKの場合は、漢直用の補助変換ルールファイルを作成する必要があります。

*4:SKKの場合はシスト動作が3回も減るため、特に快適です。

*5:ローマ字や丸数字を登録することもできます: いろんな数字をローマ字変換テーブルに仕込んでビシバシ打とう。 - 文字は読むため、文は伝えるため。

*6:SKKでは無理です。

*7:理屈としては、数字段を使わなくても、30キー×30キー×3=2700文字を定義することができ、無連想型2ストローク常用漢字をすべて定義することもできます。二文字目だけシフトするのはやりにくいので避けて、「一文字目だけシフト」「一文字目と二文字目を両方シフト」だけを採用し、二文字目だけ数字段を使用することにすると、30キー×40キー×2=2400文字になるので、これでも常用漢字を収めることが理屈としてはできます。

Paperlike電子ペーパーディスプレイ レビュー:エディタ編

前回に引き続き、電子ペーパーをディスプレイにしちゃったPaperlikeをレビューします。

今回はテキストエディタ編。閲覧ではなく作業に使う場合は、画質よりも動作速度が問題なので、動画で紹介します。

800x600のA5(擬似5階調), A2(2階調)モードと、1600x1200のA2モードはテキストの入力にディスプレイの描画速度が追いついており*1、実用が可能です。

この中では、1600x1200のA2モードが一番字が綺麗ですが、メニューが小さくなってしまうのと、2階調だと選択しているテキストが視認できなくなるという問題*2があります。このため、作業用には800x600のA5モードがお勧めです。

ただし、ポインターの移動は描画が追いつかず、イライラします。ポインティング・デバイスを使わない作業に集中するときに使うといいでしょう。紙に書かれたような質感の文字が目の前で打ったとおりに書き変わっていくのは楽しいですよ。

*1:私の入力速度の場合に限った話かもしれません。

*2:テキストエディタやOSの設定で解決できる問題かもしれません。

Paperlike電子ペーパーディスプレイ レビュー:電子書籍編

ごく一部で大注目を集めている中国Dasung社製の電子ペーパーディスプレイ「Paperlike」を同社から購入した*1のでレビューします。

概要

Paperlikeは13.3型のEink社製電子ペーパーを採用したコンピューター用ディスプレイで、Micro USB接続で動作します。

電子ペーパーはそれ自身では一切光らず、見た感じも紙に似ており目が疲れないのが最大の特徴です。

Amazon Kindle楽天Koboといった電子書籍端末に採用されており、液晶ディスプレイを利用しているスマートフォンタブレットよりも圧倒的に読みやすいです。

電子ペーパーの読みやすさをパソコンに持ってきた時点で画期的で、これまではソニーDPT-S1という専用用途の端末くらいにしか採用されていなかった13.3型の大型電子ペーパーに、WindowsMacで表示できるものは何でも映せるようになります。

Paperlikeはまだベータ版であり、ドライバのインストールや操作方法にかなり癖があるうえ、まだ動作が不安定です。しかし、それらの点のレビューは後回しにして、誰もが気になる表示品質について、電子書籍サービスKobo*2のデスクトップアプリでの表示を例に示したいと思います。

小説の表示

泰平ヨンの未来学会議

スタニスワフ レム著、深見 弾・大野 典宏訳の泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕を1600x1200の解像度、16階調グレースケールで表示した例です。

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16階調150dpiの威力で、綺麗に表示されます。画面の明るさにムラがあるのは、照明のムラです。ディスプレイ自体は全く光っていません。

同じ部分を1600x1200の解像度、2階調グレースケール(A2モード) でも表示してみました。

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文字の輪郭がガタガタしていますが、一応読めますし、内容の確認やUIの操作には問題ありません。16階調モードではページめくりやマウス起動の速度がとても遅いため、Paperlikeの画面のA2ボタンを押して臨機応変に2階調に切り替えるのがお勧めです。

漫画の表示

あれよ星屑

まずは、山田 参助のあれよ星屑 1巻から解像度1600x1200、16階調で表示した例です。

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見開きの大ゴマは、A4サイズだとかなり迫力があります。

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小さなコマでは字が小さくなってきて、ややボケます。

16階調ではページめくりの遅さとマウスの描画の遅さがつらいので、1ページづつめくる以外の操作をするときは2階調に切り替えたほうがいいでしょう。

解像度1600x1200、2階調 大ゴマならそれなりに読めます。
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小さめのコマは2階調では壊滅的な表示ですが、目当てのページを探すことくらいはできます。

解像度を800x600に設定した場合も見ていきましょう。

800x600、16階調 字がボケ気味な以外は結構いけますが、画面の動作はまだ遅いです。
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800x600、擬似5階調(A5モード*3) それなりの表示もできて、動作も結構早いモードでなかなかいいです。ただし、他のモードより残像が残りやすい気がします。
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800x600、2階調
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めしばな刑事タチバナ

次は、坂戸佐兵衛のめしばな刑事タチバナ 4巻から、インドカリースパイシーチキンのシーン。

解像度1600x1200、16階調 普通に綺麗ですね。
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解像度1600x1200、2階調 「パ」の半濁点がほとんど消えてしまっています。操作時用ですね。
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解像度800x600、16階調 ボケボケです。
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解像度800x600、擬似5階調(A5モード) この設定がDasung Techのお勧めのようですが、同解像度の16階調よりも字が読みやすく、動作も早いので、場面によってはありです。
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解像度800x600、2階調 A5モードよりあまり早くもないので、2階調にするくらいならA5モードの方がいいでしょう。
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*1:先行品です。日本には他にも数台入ってきているようで、ネットには他にはtommmmy1798さんのまとめが上がっています。

*2:私は、①日本でのサービス開始が早かったこと、②当初から日本語組版のクオリティが十分高かったこと、③Kindleは漫画を多く持ち運ぶには容量が足りないのに対しKoboではmicro SDが使えることから、日本の書籍についてはAmazon Kindleではなく、楽天Koboを使用しています。

*3:4ピクセルで5階調を表現することで、速度と画質の両立を狙うモードです。その仕組み上、解像度1600x1200では使えません。