ましゅーましまし

LARPとフォントとTRPGと日本語配列とマダミスとキーボードと(電子ペーパー)ディスプレイと自由の話

「パトリア・ソーリス」でのキャラクター作成手順指南

はじめに

この記事は

adventar.org

の記事だ。18日の枠をとったが、公開は24日になった。

自分は秋葉原卓ゲー部を中心に活動しているクトゥルーライブサークル:マスカレイドでコアメンバーをしていて、LARP界隈や秋葉原卓ゲー部の界隈では「ましゅー」を名乗っている。ファンタジーLARPを主に遊ぶレイムーンという団体にも所属して年に何回かゲームに参加させてもらっている。今年の秋にはレイムーンでオリジナルシナリオでのGMを一回やって、ベテランNPC陣のサポートでなんとか成功できた。

さて、日本で日本語で行われているファンタジーLARPのルールの原点「パトリア・ソーリス」のキャラクター作成は難しいとよく言われる。確かに難しいのだが、その難しさのかなりの部分がルール文章の配置の不親切さによるものだ。そこで、どの順番で読んで、どのように考えれば経験点(キャラクター作成時は作成点だが、この記事では「経験点」でまとめる)を効率的に使ったキャラクターを作成できるかを解説しよう。

まず、自分でキャラクターを作るには、ルールブックを読む必要がある。下記のリンクの「LARPルールブック」から、パトリア・ソーリスのルールブックをダウンロードして読める状態にしよう。

laymun.minim.ne.jp

スキルの習得はキャラクター作成の9割

パトリア・ソーリスのキャラクターのゲーム中に使うゲーム的なデータとしては

  1. 習得しているスキルとそのレベル(ランク)
  2. 習得しているスペル
  3. (一部の異種族の場合)種族の特殊能力
  4. 長所・短所

だけしかない。

装甲点はキャラクター自体のデータではなくどのような鎧をゲーム時に実際に着ているによるし、武器のリーチも実際に持ち込んだり借りたりしたLARP武器の長さによる。

そして、スペルの習得方法は、スキルの習得方法とほぼ同じだ。また、「長所」の大半は一部のスキルを習得しやすくするだけのものなので、短所と一部の異種族の特殊能力を除けば、「キャラクターの作成は9割はスキルの習得だ」といっていい。

種族の選択については、キャラクター性に影響があるし特殊能力があったりするので重要だが、「クラス」はどのスキル(スペル)が習得できるかと、どれくらい習得しやすいかにだけ影響し、特殊能力はないので、どのスキル(スペル)を習得したいかによってクラスを選んで問題ない。

キャラクター作成については、この「スキルの習得はキャラクター作成の9割」という認識を持つことがまず重要だ。

キャラクター作成の進め方

キャラクター作成は、ルールブックの記載によると

  1. 種族を選ぶ(p6-8)
  2. クラスを選ぶ(p8-14)
  3. 長所・短所を選ぶ(p15-17)
  4. スキル(p19-p39)やスペル(p53-p66)を選ぶ

という順番で読んで選んでいくことになっている。

でも、この順番でルールブックを読んでキャラクターを作るのは大変だ。キャラ作成で一番重要なのは4の「スキル(スペル)を選ぶ」段階なのに、その段階になかなか着かない。それなのに、1~3で何を選ぶかが、4に大きな影響を与えるので、1~3の段階をすっとばして4までいけないという罠まである。

私がお勧めするのは以下の順番だ。

  1. とりたいスキル(スペル)をいくつか選んでおく(p19-p39, p57-66、魔法リスト)
  2. とりたいスキルのスキル成長表がAかB、最低でもCになっているクラスを選ぶ
  3. とりたいスキルのスキル成長表が良くなる種族や、とりたいスキルを1ランクもらえる種族を選ぶ
  4. とる予定のないスキルで一番スキル成長表が高いものにつき、「才能なし」の短所をとる。「○○忌避」の短所もとってもいい。
  5. 決まった経験点の予算で好きなスキル(スペル)をとる。

ただ、種族については、キャラクターの本質に関わるので、有利不利だけでなく、ロマンも重視してよい。

スキルの習得に必要な経験点

さて、上記の順番で考えるためには、「スキルの習得に必要な経験点」について理解しなければならない。

何点経験点を消費すれば、何レベルのスキルを習得できるのか、というのを大まかにでも理解していないと最初の「とりたいスキルをいくつか選んでおく」ことも難しいからだ。

そして、スキルを習得するのに経験点が何点かかるかを知るためにはスキル成長表(38-39p)を読まなければならない。

しかし、スキル成長表はとっても読みにくい。でも、そしてスキル成長表読み方にはコツがあるので教えよう。

スキル成長表読み方のコツその1:A欄だけをみる

スキル成長表が読みにくい理由の半分はやたらと数字が並んでいて、どの数字を見ればいいか分からなくなるからだ。しかし、次の法則を覚えれば、A欄以外は読まなくてよくなる。

「スキル習得欄がBだとAのときより必要な経験点が1割あがる。これがCだと2割…と続き、Fだと5割増しになる」

つまり、スキル欄がAから1段階悪化するごとに必要な成長点が1割上がるのだ。スキル習得欄がAのときに必要な経験点は必ず10の倍数なので、端数は生じない。スペルの習得の場合も同様だ(アプレンティススペルだけ例外)。

このことから、B欄からF欄の数字を読んだり覚えたりする必要はなくて、暗算ですませることができることが分かる。暗算した数字が間違っていないことを確認するときと、アプレンティススキルを習得するときだけB~F欄をみればいいのだ。

まだクラスを選ぶ前でもA欄の数字だけみて、「クラスの都合でA欄にできない場合は、必要な経験点が1~2割くらい増えるかも」と思っておけば、欲しいスキルとレベルを選んでおくことは十分できる。

スキル成長表読み方のコツその2:ステップ、ランク、「別のスキル」、スペルの必要経験点の計算方法を知る

スキル成長表が読みにくいのは、必要経験点を計算する方法が4種類(ステップ、ランク、「別のスキル」、スペル)もあるのに同じ表にまとめてしまっているからだ。

これを1つずつ理解する必要がある。

別のスキル

まずは、「別のスキル」。分類名だけではわかりにくいが、、「習得しているか習得していないかの区別だけがあり、レベルのようなものはない」というスキルのことだ。「別のスキル」は必要経験点が10点のもの(A欄の場合、以下同じ)が1つ(着火術)と20点のものが5つ(気絶打撃と4種の甲冑知識)ある。

ランク

次は「ランク」。これは1レベル習得するごとに経験点が10点必要なスキルだ。たくさんある。

スペル

続いて「スペル」。これは、スペルのMPと同じだけの経験点が必要だ。とてもたくさんあり、ルールブックとは別冊子にまとまっている。どのスペルを習得できるかは、クラスによって異なるのに注意しよう。アプレンティススペルも同様(5MPなので、5経験点)だが、B欄以下の場合の必要経験点の計算方法が違うので、スキル成長表を見よう。

ステップ

最後に「ステップ」。これは1レベル目より2レベル目、それよりもさらに3レベル目の習得に必要な経験点が多いスキルだ。ステップごとにスキル成長表を1行使っているので、表では目立つが、そこまで数は多くない。

例えば、耐久力Ⅰは30点かかるが、耐久力Ⅱは50点、耐久力Ⅲは70点かかる。

耐久力Ⅱを習得するには耐久力Ⅰを習得しなくてはいけないので、耐久力Ⅱを習得するには、合わせて80点の経験点が必要になることに注意しよう。

これだけ分かれば、キャラクター作成時に貰える100点+短所でもらえる少しの経験点でどのスキルがだいたい何レベルとれそうか分かるはずだから、「とりたいスキルをいくつか選んでおく」ことができるはずだ。

クラスを選ぶ

次に、あなたがとりたいスキルのなるべく多くがA欄、他もできればB欄か最悪C欄になっているクラスを選ぼう。どのスキルがどのクラスでとりやすいかは、意外と分からないものなので、とりたいスキルの所だけでいいので、全クラスのデータを確認しよう。

たとえば、前線に立つために「耐久力」が欲しいし、休憩時には鎧を直す回復役がやりたいから「甲冑製造」と「甲冑知識」が欲しい。情報収集役もやりたいから「追跡術」か「伝承知識」のどちらかも欲しい……

と思ったなら、君が選ぶべきクラスは「スカウト」だ。耐久力と追跡術がA欄で、甲冑製造と甲冑知識がB欄だからだ。

甲冑製造と甲冑知識がスカウトより得意(A欄)のクラスとしてクラフターがあるが、クラフターは耐久力がC欄だし、追跡術がE欄、伝承知識がC欄と情報収集は得意でなく、目的に照らすとスカウトより効率が悪い場合が多い。

このとき、種族によって、スキルの習得欄が変わる場合はこれを考慮に入れても良い。特に人間はスキル2個の習得欄をどれでも1段階良くすることができるので、B欄2つをA欄にすることができることを考えに入れておくといいだろう。(他の種族の場合もスキルが合致する場合は同様だ。特にハーフエルフとハーフオークは選択の幅が大きい。)

たとえば、「ポーション精製」を高レベルでとって、「スペル」も習得していきたいが、戦闘で打たれ弱いのは嫌だから「武装呪文詠唱」も欲しいし、将来的には「魔法学位」もとりたいかもしれないという場合、人間の君が選ぶべきクラスは何だろうか?

答えは「エレメンタリスト」だ。ポーション精製とスペルが両方ともB以上のクラスはいくつかある。でも、武装魔法詠唱がとれるのは、ポーション精製とスペルが両方ともBのエレメンタリストと「アニミスト」だけだ。そうして、エレメンタリストの方が、武装魔法詠唱や魔法学位の習得コストが安い。

よって、人間の特性を使ってポーション精製とスペルをA欄にして「エレメンタリスト」を選ぶのがいいだろう。もっとも、他にもとりたいスキルの習得難易度や、両クラスでとれる呪文の違いなどを考えて、アニミストを選ぶ余地はある。

種族を選ぶ

クラスを選ぶ前に種族を選んでもいいが、まだ種族を選んでないなら、ここで種族を選ぼう。自分がとりたいB欄やC欄のスキルを1段階とりやすくできる種族を選べると得だが、ただで貰えるスキルや、特殊能力を重視してもいいし、もちろんロマンで選んでもいい。ただ、オークやハーフオークでスペルを中心を使おうとするなど、どうしても相性が悪く勧められないパターンはある。

短所と長所

後は、短所と長所だけ選べば、スキルに使える経験点が決まる。

「才能なし」と「天賦の才」

長所の「天賦の才」と短所の「才能なし」は得なのかどうなのかが一見して分かりにくい。端的にいうと「才能なし」はお得だからとるべきだが、「天賦の才」はまず損するからやめた方がいい。

選んだクラスのなかで、自分が将来もとらなそうな技能がいくつもあるはずだ。そのうち、できればA欄、なくてもB欄のものを1つ選んで「才能なし」をとると、20点か15点の経験点がほぼデメリットなしでもらえる。

さらに、着火術、気絶打撃のスキルの場合は、そのスキルをとる予定があっても「才能なし」をとってもいい。必要経験点がそれぞれ1点ないし2点しか増えないのに、20点も経験点がもらえるからだ。

「天賦の才」はうまくクラスを選んでもB欄になってしまったとりたいスキルをA欄に上げるのに役立ちそうだが、経験点が20点もかかるので、まず元が取れない。20点の元を取るためには、A欄換算で200点より多くの経験点を1つのスキルに使わなければならないが、そこまで費やせる技能がほとんどない。意味がありそうなのは、耐久力Ⅴ以上、回復力Ⅳ以上、スペル210MP以上、精神力Ⅳ、スペル耐性210MP分以上、魔法耐性Ⅲ、暗殺術Ⅴ以上、医術Ⅵ、甲冑製造Ⅵといったところだが、こういったスキルに200経験点を超えてつぎ込むなら、「天賦の才」なしでA欄にできるクラスと種族を選んだ方がいい。

「天賦の才 - C欄」以下なら、必要経験点は安くなるが、200経験点を超えてつぎ込む予定のスキルがC欄になっている時点でクラスの選択を見直した方がいいだろう。

~~忌避

全魔法忌避はパーティーの魔法使いのだれからも援護が全く受けられなくなるから厳しいが、特定の魔法種別だけを忌避するなら、なんとかなる場合が多いだろうから、とってもいいだろう。

他の長所と短所

ロマンで選べば良い。

スキルを選ぶ

ここまでくれば

  • 欲しいスキル(スペル)が何かが決まり
  • もっとも経験点を費やすスキル(スペル)はA欄かB欄であり
  • スキル習得に使える経験点も分かっている

はずだ。

あとは、経験点を欲しかったスキル(スペル)に注ぎ込めば、キャラクターのデータ面は完成だ。おめでとう!