ましゅーましまし

LARPとフォントとTRPGと日本語配列とマダミスとキーボードと(電子ペーパー)ディスプレイと自由の話

Paperlikeメモ

PaperlikeがIndigogoに登録されて、日本でも少し注目を集めているようなので、使用時の注意を少しメモしてみます。

一応、持ち歩ける

持ち歩こうと思えば結構かばんに入りますし、付属のポータブルスタンドも小さいので、机の大きいスターバックスなどで使うのも不可能ではないです。

屋外での使用はまだ実験していません。

室内では、照明の調整が必要な場合あり

全く発光しませんので、照明がPaperlikeに適切に当たらない場合にはデスクライトなどで照らす必要があります。

OSごとのモード使用可否まとめ

  • Mac: DUP, EXT両方可能 (常用できている)
  • Win 7: DUP, EXT両方可能 (常用できている。EXTモードではWordが使えない)
  • Win 8/8.1/10: DUPのみ (メーカー発表による。実験していない)

Win8/8.1/10での利用

まだ試してません。現状はDUPモードだけが使えるそうです。

WinのEXTではWordが動かない

Win 7の拡張(EXT)モードでは、Wordがなぜか使えません。ミラーリングモード(DUP)モードにする必要があります。

MacではEXTモードでもDUPモードでもWordが動きます。

1600×1200のDUPモード

メインディスプレイの画素数が1600×1200以上あれば、1600×1200のDUPモードにすることもできます。

メインディスプレイの画素数が1600×1200より大きい場合、DUPモードにするとメインディスプレイも1600×1200に設定変更されますが、ディスプレイがワイドだと、デフォルトでは歪んで引き伸ばされ、メインディスプレイが見にくくなります。

Win 7の場合、あらかじめ、ビデオカードとOSのディスプレイの設定で縦横比を維持するように設定したり(2560×1440の場合、左右が黒帯になり、縦に少し引き伸ばされる)、ディスプレイの中央に1600×1200の画面がドットバイドットが表示されるように設定する(2560×1440の場合、上下左右が黒い額縁になる)ことで、DUPモードが使いやすくなります。この際、設定を終えて希望の位置、倍率で1600 x 1200の画面をメインディスプレイに表示してから、Paperlikeドライバを起動しましょう。

DUP表示は、カーソルやメニューを動かすときは液晶を見て作業することで、Palerlikeの表示遅延のいらいらを改善することができます。しかし、そのせいでメインディスプレイの解像度が下がってしまってはもったいない…ということで、中古で1600×1200のディスプレイを買ってPaperlikeと合わせてトリプルディスプレイ化することを検討中です。

800×600のDUPモード

1600×1200のDUPモードと同じ手順で使えるはずですが、ここまで低解像度ではOSがまともに使えません。800×600は拡張モードで使いましょう。

1200×1600のDUPモード、600×800のDUPモード

存在しません。縦長で使うには、拡張モードにする他ありません。

その他の解像度のDUPモード

Win 7でメインディスプレイの解像度が1600×1200に満たない場合、メインディスプレイの解像度に合わせた解像度でミラーリングすることもできます(Multiple Resolution(Mirr) Setting)。この場合、デフォルトではPaperlikeの上下や左右が切り捨てられます。

Macではこの機能は使えません。Win 8/8.1/10ではまだ試していません。

モードごとの動作速度

800×600 モノクロ2値(A2)> 800×600 擬似5階調(A5)>> 1600×1200 モノクロ2値(A2)>> 800×600 16階調 > 1600×1200 16階調


1600×1200では擬似5階調(A5)モードは動作しません。

1600×1200 モードでの、[16], [A2]ボタンの挙動

[16]ボタン [A2]ボタン
16階調のとき 2階調になる 2階調になる
2階調のとき 16階調になる 2階調のまま

よだか配列を公開しました

50音の行(あかさたなはまやらわ)を示すキーと段(あいうえお)を示すキーを同時押しすることによってかな文字を入力する日本語かな配列「よだか配列」を公開しました。

github.com

DvorakJとKarabiner用の設定ファイルを準備したので、WindowsでもMacでも使えます。

実は多用な日本語配列

日本語配列としては、「ローマ字入力」が圧倒的に使われており、次いで「JISかな配列」、「親指シフトNICOLA)」配列が有名です。

しかし、これらにはどれも完璧ではなく、これまで、さまざま改良配列や独自配列が作られてきました。ローマ字入力を改造した「AZIK」、さまざまな派生配列が作られ今も改良が続いている「月配列」などが比較的有名です。これらにかぎらず、現在もネットで様々な人が新規に開発した配列を発表しており、その数は増え続けています。

よだか配列の特徴

今回、私が公開したよだか配列には

  • 現代日本語の入力に使われるカナは全て上段と中段のみを使って一動作で入力することができる。
  • 最上段(数字段)は使用しない。
  • 50音の並びに基づいた配列となっていて、覚えやすい。
  • 文字キーの同時押しだけですべてのカナを入力するため、JISかな配列のようにシフトを多用したり、親指シフト系の配列のようにキーボードを選んだりしない。
  • 使用頻度の高いカナは1打で入力でき、カナの約60%を単打で入力できる。
  • 拗音(きゃ、しゅ、ちょ…)は三つのキーを同時押しすることで一動作(3打鍵)で入力できる。
  • かん、しん、つん、といった「カナと撥音の組み合わせ」を一動作(2打鍵)で入力できる。

といった特徴があります。一方、

  • 文字同士の連なりはあまり考えられていない(この点、同じ文字キー同時打鍵系の「新下駄配列」に劣る)
  • キー入れ替えソフトを使用する必要がある(この点、同時打鍵もできる行段系配列の「phoenixかな配列」に劣る)

といった欠点もあります。

とくに、文字キー同時打鍵系の配列としては「新下駄配列」が有名で、かつ、文字の連なりを踏まえて考えぬかれた配列であり、よだか配列より日本語入力に秀でた配列であると思われます。

しかし、新下駄配列は、カナの配置に規則性がなく、私は3回チャレンジしても配置を覚えきれませんでした。今回のよだか配列は規則的であり、(自分で作った配列なのもあって)私でも習得でき、文字キー同時押し系かな配列の良さを体験できて満足しています。

(この記事はよだか配列で書いています)

ローマ字入力、AZIKや行段系配列に少しだけ漢直を足す実例

(この記事は 漢直 Advent Calendar 2015の13日目の記事です。)

シフトを使わない例

日本語入力ソフトによっては、ローマ字テーブルを変更することで、ローマ字の組み合わせに任意の漢字や文字列を登録することができます*1

つまり、ローマ字入力では使わないローマ字の組み合わせに漢字を割り当てることで、ローマ字入力に無理なく漢字直接入力を混ぜることができるのです*2。この際、ローマ字変換テーブルに漢直用の定義を追加すれば足り*3、配列変更ソフトの利用は不要です。

しかし、

  • 登録できる漢字の数が限られる
  • 単語の一部だけを漢直入力すると単語の漢字変換がスムーズにできなくなる

などの制限があるため、漢直が便利に使える場面を見極めることが重要です。

まず私がおすすめするのは、日付の入力に使う漢字を登録することです。例えば、次のような定義です。

ローマ字 漢字
nx
gt
nt

こうすると、「2015nx12gt13nt」とタイプすることで、変換動作なしで「2015年12月11日」という文字列を入力することができます。「2015nen12gatu13niti」とタイプするのと比べて打鍵数も5打減りますし、使う場面が明確で、頻繁に使うので、すぐ覚えられます*4

なお、短文や漢字の組み合わせを登録することもできますので、年号も登録してしまいましょう。

ローマ字 単語
hs 平成
sw 昭和

これで、「hs27nx12gt13nt」と入力すると、「平成27年12月13日」と変換動作なしで入力できるようになりました。

また、接尾辞のように他の読みと混ぜて変換する必要の低い漢字の登録や、単位として使う漢字の登録もおすすめです。たとえば、「様」という敬称はよく使いますので、「千」「万」と合わせて漢直登録していまいましょう。

ローマ字 漢字
sm
sn
mn

自分の名前を登録してしまうのもおすすめです。例えば、「山田静香」という名前なら以下の様な定義をすることで、変換作業なく4打鍵で入力することができます。

ローマ字 単語
yd 山田
sz 静香

また、私の経験では「会社」及び「株式会社」という単語を入力する機会はかなり多いので、これも登録しておくのがおすすめです。

ローマ字 単語
kb 株式
ks 会社

また、二文字目以降であれば数字キーを定義に使うこともできるので、文字キーと数字キーとの組み合わせで漢数字を登録するのもおすすめです*5

入力 漢数字
k1
k2
k3
k4
k5
k6
k7
k8
k9
k0

記号を登録するのもありです。例えば、「〒」は郵便番号を入力するときに多用するので、変換せずに入力できるとスムーズです。

ローマ字 出力
yb

シフトを使う例

Google日本語入力では、ローマ字テーブルの定義に大文字を使うことができます*6。つまり、シフトを使ったときに漢字を入力することをすることもできます。この際、「一文字目だけシフト」「一文字目と二文字目を両方シフト」「二文字目だけシフト」にそれぞれ漢字や単語を定義することができますので、定義ができるスペースがぐっと広がります*7

おすすめは、「一文字目だけシフト」に漢字を登録し、「一文字目と二文字目を両方シフト」に単語などを登録することです。この際、キー配列割当ソフトの使用は必須ではありませんが、シフト動作を多用することになるので、キー配列割当ソフトをつかってスペースバーをシフトキーと共用するSandSの設定も行うとなおいいでしょう。

漢字や記号の登録

たとえば、「一文字目だけシフト」には以下の様な漢字を定義することが考えられます。

ローマ字 漢字 使用場面例
At 「~様宛」など
Dn 殿 「(人名)殿」など
Do
Du 「~月~日付」など
Go
Mn
Mt 「~月末」など
Ws
Zu

私が拡張ローマ字入力AZIKGoogle日本語入力で使用していた頃は、シフトしない定義や「二文字だけシフト」と合わせて下記のような漢字や記号を登録していました。便利かもと思ったものは積極的に登録し、使用頻度が少なくても削除しなかったので、実際はほとんど使用せず、打ち方も覚えなかった漢字も多く含まれています。

ローマ字 漢字 ローマ字 漢字 ローマ字 漢字
Aq At Bj
Bq bt Bt ×
Bu Bw Bz
Ch Dn 殿 Do
Dp Dq Du
Ei Eq Go
Gp gt Gy
Hd Hl Hp
Ht Hz Ji
Jp kD Kd
Ki KI Kk
kP Kp kQ
Kq Kr Kt
Ku Kw Kyp
Kz Md Me
Mg Mk mm
Mn Mq Mt
Mw nn Nq
nt Ok Pj
Rn Ryp Rz
Sd Sh Si
sm St Sw
Td Th Tp
Ue Um Ws
Xa Xh Xo
Xp yb Yp
Zd Zu

単語の登録

「一文字目と二文字目をシフト」には、(例えば勤め人であれば)職場の同じチームや直属の上司など、苗字を頻繁に打つ人や役職名を登録するのがおすすめです。例えば、職場で鈴木さんや佐藤部長にメールを打つことが多いなら、以下のような定義が便利です。所属する会社や団体の名前を定義しておくのもいいでしょう。

ローマ字 単語
SZ 鈴木
ST 佐藤
BC 部長

その他にどのような単語を定義するのが便利かは、普段どのような単語をよく使うのかによって大きく異なります。下記は、私が使っていた定義の中から、比較的汎用性があると思われるものを抜き出してみたものです。自分にとって便利な定義をどんどんローマ字テーブルに加えてみましょう。

ローマ字 漢字 ローマ字 漢字 ローマ字 漢字
AT 相手 BB 売買 BD 米ドル
BG 番号 BQ 場合 BS 別紙
BX 文書 CM 丁目 CS 調査
DH 代表 DI 同意 EG 英語
GB 原文 GG 午後 GI 合意
GS 原則 GT 該当 GY 概要
GZ 午前 HB 販売 HD 本件
HG 表現 HT 否定 HY 必要
IJ 以上 IK 以下 IZ 以前
JB 準備 JR 受領 JX 住所
JZ 事前 KG 競合 KK 期間
KN 確認 KT 決定 KY 契約
MK 無効 MR 目録 ND 年度
NK 認識 OG 覚書 RG 例外
RK 了解 SH 製品 SJ 削除
SK 請求 SN 責任 ST 指定
SZ 製造 TG 定義 TK 締結
TT 通知 TX 提出 XH 商品
XM 書面 XW 修正

(この記事は、漢直もちょっと打てる、こまどり配列(semialt/komadori · GitHub)で書きました。)

*1:Google日本語入力、Aqua SKK, CorvusSKKで可能なことを確認していますが、他のソフトでもできるかもしれません。

*2:AZIKのような拡張ローマ字入力や、未定義のキーの組み合わせがある多くある行段系配列の場合も同様です。つばめ配列のように、未定義のキーの組み合わせが少ない行段系配列では、定義が困難です。つばめ配列を参考にして作ったこまどり配列も未定義のローマ字の組み合わせが少ないため、シフトを使った漢字や単語の定義だけを行っています。

*3:Google日本語入力とCorvusSKKの場合は環境設定から、定義を追加できます。AquaSKKの場合は、漢直用の補助変換ルールファイルを作成する必要があります。

*4:SKKの場合はシスト動作が3回も減るため、特に快適です。

*5:ローマ字や丸数字を登録することもできます: いろんな数字をローマ字変換テーブルに仕込んでビシバシ打とう。 - 文字は読むため、文は伝えるため。

*6:SKKでは無理です。

*7:理屈としては、数字段を使わなくても、30キー×30キー×3=2700文字を定義することができ、無連想型2ストローク常用漢字をすべて定義することもできます。二文字目だけシフトするのはやりにくいので避けて、「一文字目だけシフト」「一文字目と二文字目を両方シフト」だけを採用し、二文字目だけ数字段を使用することにすると、30キー×40キー×2=2400文字になるので、これでも常用漢字を収めることが理屈としてはできます。